落合陽一が古市憲寿にテレビでいじられネットでブチ切れ一部始終【山本一郎】
【連載】山本一郎「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」
一方で、そんな発言をした落合陽一さんは、怒ったんだろうけど「社会学者という肩書の『クソ大学院生』」「犬」などと、確実に古市さん本人と同定できる内容で中傷しちゃっているんですよね。古市さんに対して「学位もないのに社会学者を名乗るな」という批判は正当なところもあるかもしれないけど、それはあくまでアカデミックな世界での話ですからね。
それをいい始めたら、落合陽一さんも開成中高卒なのに1浪して筑波大学で、博士課程も東京大学暦本研ですよねと指摘したい人たちが沢山出てきてしまいます。私個人は筑波大学はとてもいい大学だと思いますし、落合さんが筑波大学の学長補佐もされていた(2019年まで)わけですから、評価されているんでしょう。しかしそれは、古市さんだって政府系の懇談会のメンバーでもあり、古市さんに声をかけた人に泥を塗る行為でもあるわけです。アカデミックの世界では古市さんの未来にはもはや先がないので、頑張って文藝の世界で名を刻んでメディアの中で生き残ろうと懸命に小説も書いて芥川賞候補になったりしておるわけですよ。いかんせん、あの内容だと「あ、古市さんが書いた小説だ」とならない限り目を通さないようなレベルかなとは感じましたが。
どちらにせよ、総理大臣と飯を喰ったことは動静に出てしまいます。そのような政治的なトピックスで絡められないようにするには、総理含め大臣級とはネットでしかコンタクトを取らないとか、仮にアポイントの要望があっても秘書官経由に留めて直接の面談を避けて自分のキャラクターに政治性がつかないようにする、ということぐらいは心掛けたほうが良かったのではないかと思います。
そうでないならば、当然報じられた総理との面談をイジられるのは覚悟せざるを得ず、そして、それをテレビで触れられて激怒したり、それを報じた東京スポーツの記事を消させるアクションに出れば、逆に問題は拡散してしまいます。私も東スポの記事が削除されたことで、Twitter上で騒ぎになって初めてこの事件を知りました。ありがとう記者倶楽部。ありがとう東京スポーツ。「もっと器用に立ち回れば良かったのに」というつもりはありませんが、そのために落合陽一さんは芸能事務所の契約でテレビやネット媒体に出演しているわけですから、一言、事務所に相談しておけば良かったのにと感じるわけですよ。
この手の話は、30代論客がメディアに消費されずにどう生き残るかというポジション争いの側面もあるので「仲良く喧嘩していただきたい」と思いつつも、一方で双方脇が甘い人たちでもあるので大けがのないように慎むべきところは謹んで、うまく生き抜いていっていただきたいと願っています。
文:山本一郎
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